世間では三笠フーズの「毒入り米」が大騒ぎになっている。これについては、また改めて書くことにして、大麻の話をしつこくやっておこう。
大麻を吸うとクビだ。酒やタバコならOKだ。
どこが違うのか。
相撲協会の親方はもちろん、世間の多くの男衆はみんな酒が好きだ。女も同じだ。
酒を飲んだらクビにされるのだったら、自分も酒を飲めなくなる。そいつは困る。かんべんしてよ。
親方衆は、だから、酒を理由に力士をクビには絶対したくないし、できない。
アホですね。
ところが酒は中毒性を持っている。アル中だ。肝硬変や肝臓ガンの原因にもなるじゃないか。
アルコールの致死量は体重1キロ当たり5?8グラムだそうだ。体重60キロの人は300グラムで死ぬかもしれない。かなりの有害物質だ。大麻マリファナはどうか。中毒性もない、習慣性もない。酒と比べてこんなに安全安心なものはない(笑)。
そもそも、塩だって大量になめたら死ぬ。砂糖だって大量になめつづけたら健康に良いはずがない。しかし、塩も砂糖も有害物質、とは言わない。毒物、とは言わない。
アルコールはかなりの中毒性、毒性をもっている。であるなら、酒は製造も飲酒も法律で禁止したらどうなのか。酒は嗜好品で、飲まなくても栄養失調なんかにはならない。ならば、法律で禁酒したらいいではないのか。
なんで、そうしないのか。みんな、酒が好きだからだ。影響があまりに大きすぎる。昔から、世界中で、酒はどんちゃん騒ぎしたいときの必需品だった。お祭騒ぎには欠かせない飲物だった。酔っ払ってめろめろになりたいから酒を飲む。我を忘れて酒に酔う。酒を飲んで冷静沈着になりたいから酒を飲む、なんて気持ち悪いやつはいない。
酒が好き、ということは、もう、あんたはアルコール中毒になっている、ということだ。こんな中毒症状をおこすものがOKで、なんで中毒性のない大麻が袋叩きになるのか。酒で人を死なせた人間がいったい何人、この世界にいたか。酒で人生を棒にふった人間がいったい何人、この世にいたか。ちょっと考えれば分かること。ということなんですね。
大半のニッポン人(わたしももちろん)は大麻は吸ったことが無いので、吸った奴はクビにする。大麻に毒性があるか無いかなんて考えたこともない。大麻は有毒だと言っている人、何の根拠で言っているのか。科学的根拠、医学的根拠があるのか。どこにも無いのですね。お上が「悪いものだ」と言うから悪い、そんな他人事の程度。自分でよく調べたこともない。いい加減なのだ。自分は損をしないことだから、吸った奴をクビにしたって困らない。吸った奴を死刑にしたって困らないだろう。だから、自分では何も考えず、尻馬に乗って、「大麻を吸ってるようなやつは人間のクズに決まってる。やっつけちまえ!」と騒いでいる。
要するに、多数派が間違っていて少数派が間違っていなくても、多数派は自分が正しいと思い込んでいるので、少数派を気楽に処罰する。これが世の中だ。マスコミはとくにひどい。何も勉強せずに、弱いもの叩きをするのが大好きだ。たとえば、ロシアをやっつけろ、という気分が世間に流れているときは、ロシア人は些細なことを理由に袋叩きにされるだろう。グルジア紛争であきらかになってきたアメリカとロシアの「新冷戦」が始まっている今は、とくにこういう話には気を付けなくてはいけないのだ。
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若ノ鵬は六本木だかで大麻タバコの入った財布を落としたことで捕まった。露鵬と白露山は大相撲ロス巡業のときラスベガスだかで大麻を吸ったことがあると白状した、というウソかホントか分からない話がマスコミで流された。どっちの話もなんだかいかがわしい。財布を落とす偶然、中に大麻が入っている偶然、持ち主が相撲取りである偶然、アメリカ興業で相撲取りが大麻を吸う偶然、これがみんなロシア人だけである偶然。。。。
法に違反したわけでもなく、他人に危害を加えたわけでもない。
そんな Roho & Hakurozan はある日、相撲協会から解雇を言い渡された。
誰かが兄弟を誹謗したにちがいない。
フランツ・カフカの小説じゃないが、これは奇妙な国ニッポンの不条理劇だ。
解雇の理由が分からない。論理性がない。大麻取締法にまったく違反していないので、警察だって逮捕はしない。しかし、相撲協会は論理性がないので、犯罪人でもない者を勝手に裁いた。
ある日、いつものように休み時間にタバコをくゆらせていたら、部屋の親方が来た。こら、副流煙で周りの兄弟弟子を肺ガンにしようとしたな、無差別殺人鬼め!おまえは即刻クビだ。
害が言われる煙草でさえ、それを理由の解雇話は聞いたことがない。それが健康被害もない大麻なのに、この騒ぎだ。異常な社会ですね。相撲取りは酒や煙草は飲んでもいいが、大麻はダメ、という規程でもあるのか。これは、労働基準法からすると「不当解雇」だろう。合理的な理由もなしに労働者を勝手に解雇してはいけない。万国の労働者よ!露鵬よ、白露山よ、権利を守るため団結せよ!なんちゃって。
まじめな話、露鵬と白露山には、民事裁判で徹底的に相撲協会と戦ってほしい。そうして、ニッポン社会のおかしな常識をぶっこわしてもらいたいね。露鵬も白露山も違法なことはしていない。違法の可能性のある不当解雇をしたのは相撲協会の方だ。
Google が対マイクロソフト戦争に新たな兵器を投入した。
新ブラウザChrome。
今月3日には日本版がダウンロードできるようになったので、日本でもかなりの人が試してみているようだ。まだベータ版(開発途上でテスト版)なので、こまかい使い勝手は必ずしも良くはない。が、基本的にはすぐに使えるレベルに来ているから驚きだ。最近のIT界では最大級のインパクトをもつ話題だ。
我が家はふだんFirefoxを使っているので、Chromeをインストールしてみたものの本格的にこちらに乗り換える気はまだない。しかし、Chromeはそう遠からず正式版がでてくるので、世界中、マイクロソフトのIE=InternetExplorer と大激突になること必至だろう。Google VS Microsoft の最終戦争を期待して待とう。
原子力供給国グループNSGが、アメリカの対インド原子力輸出にオーケーを出した。このグループは昔、ロンドン供給国グループと言われていて、わたしが霞ヶ関をうろつき回っていた若いころは、謎めいた存在だった。(こまかいことは新聞でも見てください)
「唯一の被曝国」もこの供給国グループのメンバーだ。前から言っているとおり、唯一の被曝国なんてのはタワゴトなので、当然、アメリカが過去に2度も核爆発実験をしたインドにたいして核技術の商売をやりたいと言い張れば、唯一の被曝国は、「ハイハイ、わかりました、親分」と二つ返事で従うことになる。昔からアメリカにキン*マを握られているからだ。日米安保条約というやつで。
その一方で、北朝鮮の「核の脅威」とやらの話になると、こんどは、大騒ぎをして見せる。中身のない北朝鮮の核実験(屁ほどの爆発力もなかったね)をとらえてハシャギまくってきた。この理由については別のところで前から言っているが、リビアに核開発を放棄させた話と同じで、要するにブッシュの引退土産のひとつにしたいのだ。大統領の任期切れまでに間に合わない心配も出てきたが(笑い)。
インドの話は、要するにアメリカの対中国封じ込め戦略にとってもっとも重要な位置にあるインドをアメリカ寄りにしておかねばならない、ということに尽きる。このばあい核拡散なんかはアメリカにとってどうでもいいのだ。
同様に、かつてインドに対抗して核実験をやったパキスタンは、アメリカが自分勝手な「対テロ戦争」を始めるや、アメリカに協力することでご機嫌とりをした。結果、パキスタンへの制裁政策はかんたんに解除された。わがニッポン政府もアメリカにシッポを振って、パキスタンの核を忘れることにした。そのムシャラクも大統領職から転落してしまったが、どっちにしても「テロとの戦い」のどさくさにまぎれてパキスタンの核問題はうやむやになった。
話は脱線するが、ロシア人相撲取りの「大麻事件」。これなんかは、新冷戦とまでいわれる、ロシアとアメリカの関係がちらちらと後ろに見える。ロシア人をやっつけろ、というニッポン人の心を煽動するのにグッドタイミングだった。これもアメリカさんの謀略だと言ったら、アホかと思われるだろう。それはともかく、怪しげな反露キャンペーンには注意した方が良い。大麻事件なんてのは、芸能人だったらこんなに大騒ぎはしない。「ロシア人」相撲取りだから大騒ぎしているのだ。しかも、大麻なんて毒でも何でもないものを麻薬と混同させて騒いでいるお粗末。
朝青龍の事件のばあいは、逆に、問題を大きくしてはいけなかった。なぜかといえば、モンゴルとニッポンの関係を悪くしてはマズイからだった。モンゴルは、アメリカの中国包囲戦略にとってインドと同様に重要な国なのだ。しかもモンゴルは対ロシア戦略にとっても、大事な位置にある。だから、アメリカの子分ニッポンとしては、モンゴルとのあいだで国民対立をもたらすようなことをしてはならない。
つまり、インドの核問題はこういうアメリカの対中国、対ロシア戦略の大きい枠組みで動いてきた。アメリカ中心の国際外交は、二枚舌、三枚舌を駆使しながら、じつにアホらしく動いている。それと並べると恥ずかしくなるが、「唯一の被爆国」ニッポンの核外交なんてのは、けっきょく親分の使いっ走り、いわゆるパシリでしかないということだ。あっちへ行けと言われればあっちへ行き、こっちへ来いと言われればこっちへ来る。「テロとの戦い」とかいうのもまったく同じ。またこれから、インド洋の無料ガソリンスタンド法案延長が、パシリ国家の大問題になるというわけだ。
こんなパシリ国家の与党総裁が誰になるか、てなことが如何にちっぽけな権力争いか、知れるというものなのだ。