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2013年12月アーカイブ

ハチのこと雑話

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また今年のツイッター・ネタなのだが、ハチのことをちょっと。

この夏は全国的にスズメバチの騒ぎが多く報道された。ハチに刺されて大騒ぎ。スズメバチそのものが増えたかどうかは、科学的なデータがあったのか知らない。猛暑でハチが活発化しているとかいう解説もあった。ニュースが増えることイコール事例が増えること、とは限らない。よくあるのは、子供が凶悪事件に巻き込まれることが多くなった、というような根拠のない話が典型例。ニュースで騒ぐと、なんとなく印象として最近は増えているように思いこむ。そういう思いこみが世の中にはけっこうある。

DSCF0044.JPGさて、スズメバチといってもいろいろいるんですね。右はオオスズメバチ。スズメバチの王者?。こいつでなく、ふつうハチに襲われる事件の主役は、たいていキイロスズメバチがほとんどだろう。あの大きいバスケットボールみたいな巣を作るヤツね。りんごが熟すと食べにくる。ハチの大きさは中くらい。オオスズメバチと比べると迫力で負ける。

この樹の洞はわが家の畑にある桜桃(ナポレオン)の枯れ木。今年、夏のあいだニホンミツバチの巣になっていた。そして、9月にオオスズメバチのグループが巣を乗っ取った。

nihonmitsubachi1.jpg左写真のように、7月から8月には、ミツバチが蜜や花粉を運んでこの洞をさかんに出入りしていた。下の写真は巣につづく小さな穴に集まっているニホンミツバチ。

ところが、右の写真を写した9月19日、スズメバチはもうこの段階で巣をほぼ制圧していたようだ。まわりを数匹のミツバチがオロオロと飛び回っていたが、巣の中に入ろうとするものは1匹もいなかった。

巣の入り口近くにかたまるニホンミツバチ(7月)nihonmitsubachi2.jpg
ニホンミツバチはスズメバチの攻撃に対しても巣を守りきる特殊な能力があるという話を知っていたので、このときもひょっとして洞のなかでは壮絶な死闘がくり広げられているかも知れない、と思って見ていた。しかし、この日の後、ここでミツバチの姿を見ることはついに一度もなかった。

オオスズメバチ vs ニホンミツバチ: YouTube ← オオスズメバチも1匹だとこうなるんだなあ。
スズメバチ vs ミツバチ: YouTube ← こいつは西洋ミツバチだと思う。背中あたりが黄色っぽい。巣箱も養蜂タイプ。

日本にはミツバチがいるが、今ふつうに見かけるのは西洋ミツバチがほとんどだろう。西洋ミツバチは飼育しやすいので、養蜂業はほとんどがこの種類を飼って蜜をあつめている。だから日本全国、花の季節には野山を西洋ミツバチが飛び回る。ニホンミツバチの方は名前のとおり昔から日本にいる野生のハチだ。野生だから、生態系のバランスのなかで生きられる程度の数しか自然界にはいない。家畜としての西洋ミツバチとは生息密度がまったくちがう。

mitsubachi_fuji.jpg西洋ミツバチは野生ではなく家畜だ。牧場に放たれる牛やヒツジみたいなものだ。ミツバチが家畜ということは、自然のままの状態だと生きていけないということ。アジアに住むスズメバチや寄生ダニなど天敵に対する抵抗力が欠けている。人間が管理してやらないと、あるいはタネバチ(女王蜂)を補給してやらないと、日本の自然、日本の生態系のなかでは持続的に生きていくのがむずかしい。

左の写真はりんごの花の蜜を吸う西洋ミツバチ。黄色っぽい。


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10年以上も前から、ミツバチの大量死とか失踪とかが欧米で騒がれるようになったのは、周知の通り。それも「ネオニコチノイド」という系統の殺虫剤とセッ トで世の中を騒がすようになった。ことしもEUを中心にネオニコチノイドの使用禁止などが騒がれた。決着はまだまだつかない。

「ネオニコチノイド系農薬の使用規制に見る予防原則」
よく、ミツバチがいなくなると花の受粉が出来なくなって果物も野菜もさっぱり実らなくなる、という話がでてくる。食糧の危機という大変なことが起きると。レーチェル・カーソンの「沈黙の春」にひっかけて「沈黙の秋」とか言う人もいる。しかし、それは誇張だね。自然界にはミツバチ以外に花の受粉を助ける昆虫はいくらでもいる。そもそも西洋ミツバチはほんらい日本にはいなかった。

果樹農家のばあい、ネオニコにかぎらず殺虫剤を散布するのは畑に花が咲いていないような時期だ。つまり、訪花昆虫のミツバチなどが畑のなかにいない時期に散布する。という意味で、果樹栽培がミツバチに悪影響を与えるリスクは非常に小さい。で、日本のばあい、いわゆるネオニコ反対派が問題にしてきたのは水田へのネオニコ散布だった。カメムシ防除剤としてのネオニコだった。しかし、これも、科学的に影響が証明されたわけではない。

農水省:農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取り組み
ハチが巣を作った桜桃の枯れ木も、もちろん果樹畑の真ん中にあるから、サクランボの農薬だけでなくリンゴや洋なしの農薬も飛んでくる。ネオニコで言うと、サクランボで2回くらい、リンゴで2回くらい使う。

何の根拠があるわけでもないが、わたしは農薬の影響があるとしても、それよりは気候の影響の方が大きいはずだと思ってる。昆虫のような変温動物は、気候の変化がそのまま生死を左右するからだ。植物も昆虫もエアコン持ってないしね。寒さに弱いのはもちろんとして、昆虫は暑さにもけっこう弱い。二つくらい前のブログ・エントリーでも書いたが、今世紀の異状気象は、昆虫にも大きい影響を及ぼしているにちがいないのだ。





記事一個、削除

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すまぬ。数字の集計ミスがあった。かなり水増し集計だから弁解の余地無し。
なので、元記事削除。ウソ書いちゃいかんわ。信頼性がなくなる。

わが家は毎年、ふじリンゴの贈答品に手作りのチラシを入れている。その年その年のいろんな話題を自分なりに書いて入れているものだ。その今年版の一部をここに転載する。ツイッターでも書いたやつ。

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『今年の果物栽培をふりかえって』

去年もそうだったのですが、最近は9月10月の気温が高く、秋に収穫期が来るりんごにとっては、色づきや蜜入りがおそくなるという困ったことになってきています。秋の高温はりんごを成熟させるよりも若返らせてしまいます。人間が若返るのはありがたいですが、果物は適当な時期に老熟しないといけません。おいしく熟すこととは立派に老化することだからです。

たとえば、モミジの紅葉の時期が近年、遅れるようになっています。果実の成熟と同じことで、秋のメリハリある気候、昼夜の寒暖の差が失われつつあるからです。

yonezawa1103nissyojikan1.jpg地球の温暖化で台風の巨大化や豪雨、突風竜巻・・と目に見える被害がいろいろ騒がれます。りんごの生育という一般の人にはわからない、果樹畑のなかで、その影響がでていることを、皆さんにも知っていただきたいと思います。

右のグラフは、米沢11月3日の天気と一日の日照時間を示しています。1976年から今年までのデータです。11月3日はご存知、「文化の日」です。この日は晴の特異日といわれて、日本全国快晴!! というのが定説でした。

ところが21世紀になって、晴れの日が明らかに減ったのが分かります。しかも、20世紀は、同じ晴れでも雲ひとつ無い秋晴れの日が多かったことにも気づきます。たぶん、皆さんのお住まいの地域でも、グラフ化すると同じ傾向が出るのではないでしょうか。

地球の気候がおかしくなっているひとつの表れが、こんなところにも出ているわけです。

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以上引用おわり。

こういうふうにグラフ化してみると、地球に起きている不気味なことが見えてきそうだ。

原発事故よりも、はるかに恐ろしいことだと思う。まったくコントロール不能だから。
事故は抑える余地がいくらでもある。しかし、気候の暴走は止める方法がない。

昔のことを少し

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『寺との抗争』の続編を待ってる人には申し訳ない。いま、カネ集めで忙しいのだ。カネがないと年を越せないからね。週末までには書く。

で、面倒くさい話は置いておいて、ちょっと昔話。

ひとつまえの「匿名」がどうたら、の関連なのだが、わたしは若いころ零細だがある情報誌の記者をやっていた。だから、ものを書くこと、その結果引き起こされること、については、それなりに意識してものを書いてきた。匿名でコソコソやるのではなく、名前を張って仕事をする以上はそれなりの覚悟が必要だ。なにしろ霞ヶ関や大手町、丸の内の官庁、大企業が読者でありかつ取材対象だったから、そりゃストレスがたまったわなあ。会社に入って最初の仕事がアメリカ・スリーマイル島の原発事故だった。1979年の3月。いまは田舎のただの果樹農家なので、ずっと気楽なものだ。しかも、ただの寺のクソボーズが相手に過ぎない。

大マスコミの記者はその企業の看板で仕事をできるが、零細な企業の記者はプレッシャーが大変なものがある。しかし、霞ヶ関が発行する記者証一枚あると、たいていのところに出入りできた。今はどうなっているか知らんが、各官庁には大マスコミの記者会と中小専門紙誌の二つの記者クラブがあった。記者ですと言えば、原子力委員会や原子力安全委員会の委員の先生にも単独で会える特権がある。東京電力本社の赤絨毯のフロアにも行けた。山形大学の学生さんにはおなじみの結城章夫学長は当時、原子力局の課長補佐だった。ときどきぶらっと立ち寄ってお話を聞いた。山形出身ですよと雑談で話してたのを覚えている。

数年前から上杉隆らが騒いだ「記者クラブ」問題。あれなんか、事情を知ってる人からすると下らない話だった。記者の取材活動は、「記者会見」が中心ではない。そんなものはただのセレモニー。主戦場は人の目につかないところでつづける取材活動だ。

あの頃から見れば、そりゃあメディア、情報空間は激変した。インターネットのこと。そして今もドロドロと形が変わっていっている最中だ。流れにおぼれないようにしないと、あっという間に流される。
『なぜ起きるネット炎上』中村伊知哉

たしかにネット上では、みんな自分の指紋や足跡を残しながら歩き回っている。自分は匿名だから誰にもわからないと思い込んでいる。そういうのがけっこういっぱいいるので、その意味では、見ていると面白い。自分は誰からも見られていないと安心して女湯を覗き見していると、急に背中から肩を叩かれることになるんだな。ドキッとするだろうなあ。笑、笑、笑。

まあ、最初から自分の顔や名前をさらして生きている人間にとっては、さらしているリスクも大きいが、匿名とか覆面とかで生きている人間の寂しさと比べればずっとましだ。「ネット弁慶」っていうことばもあるくらい、ネットのなかで匿名で、気が大きくなって、騒いでいる人ほど寂しいからなあ。

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