また今年のツイッター・ネタなのだが、ハチのことをちょっと。
この夏は全国的にスズメバチの騒ぎが多く報道された。ハチに刺されて大騒ぎ。スズメバチそのものが増えたかどうかは、科学的なデータがあったのか知らない。猛暑でハチが活発化しているとかいう解説もあった。ニュースが増えることイコール事例が増えること、とは限らない。よくあるのは、子供が凶悪事件に巻き込まれることが多くなった、というような根拠のない話が典型例。ニュースで騒ぐと、なんとなく印象として最近は増えているように思いこむ。そういう思いこみが世の中にはけっこうある。
さて、スズメバチといってもいろいろいるんですね。右はオオスズメバチ。スズメバチの王者?。こいつでなく、ふつうハチに襲われる事件の主役は、たいていキイロスズメバチがほとんどだろう。あの大きいバスケットボールみたいな巣を作るヤツね。りんごが熟すと食べにくる。ハチの大きさは中くらい。オオスズメバチと比べると迫力で負ける。
この樹の洞はわが家の畑にある桜桃(ナポレオン)の枯れ木。今年、夏のあいだニホンミツバチの巣になっていた。そして、9月にオオスズメバチのグループが巣を乗っ取った。
左写真のように、7月から8月には、ミツバチが蜜や花粉を運んでこの洞をさかんに出入りしていた。下の写真は巣につづく小さな穴に集まっているニホンミツバチ。
ところが、右の写真を写した9月19日、スズメバチはもうこの段階で巣をほぼ制圧していたようだ。まわりを数匹のミツバチがオロオロと飛び回っていたが、巣の中に入ろうとするものは1匹もいなかった。
オオスズメバチ vs ニホンミツバチ: YouTube ← オオスズメバチも1匹だとこうなるんだなあ。
スズメバチ vs ミツバチ: YouTube ← こいつは西洋ミツバチだと思う。背中あたりが黄色っぽい。巣箱も養蜂タイプ。
日本にはミツバチがいるが、今ふつうに見かけるのは西洋ミツバチがほとんどだろう。西洋ミツバチは飼育しやすいので、養蜂業はほとんどがこの種類を飼って蜜をあつめている。だから日本全国、花の季節には野山を西洋ミツバチが飛び回る。ニホンミツバチの方は名前のとおり昔から日本にいる野生のハチだ。野生だから、生態系のバランスのなかで生きられる程度の数しか自然界にはいない。家畜としての西洋ミツバチとは生息密度がまったくちがう。
西洋ミツバチは野生ではなく家畜だ。牧場に放たれる牛やヒツジみたいなものだ。ミツバチが家畜ということは、自然のままの状態だと生きていけないということ。アジアに住むスズメバチや寄生ダニなど天敵に対する抵抗力が欠けている。人間が管理してやらないと、あるいはタネバチ(女王蜂)を補給してやらないと、日本の自然、日本の生態系のなかでは持続的に生きていくのがむずかしい。
左の写真はりんごの花の蜜を吸う西洋ミツバチ。黄色っぽい。
10年以上も前から、ミツバチの大量死とか失踪とかが欧米で騒がれるようになったのは、周知の通り。それも「ネオニコチノイド」という系統の殺虫剤とセッ トで世の中を騒がすようになった。ことしもEUを中心にネオニコチノイドの使用禁止などが騒がれた。決着はまだまだつかない。
果樹農家のばあい、ネオニコにかぎらず殺虫剤を散布するのは畑に花が咲いていないような時期だ。つまり、訪花昆虫のミツバチなどが畑のなかにいない時期に散布する。という意味で、果樹栽培がミツバチに悪影響を与えるリスクは非常に小さい。で、日本のばあい、いわゆるネオニコ反対派が問題にしてきたのは水田へのネオニコ散布だった。カメムシ防除剤としてのネオニコだった。しかし、これも、科学的に影響が証明されたわけではない。
何の根拠があるわけでもないが、わたしは農薬の影響があるとしても、それよりは気候の影響の方が大きいはずだと思ってる。昆虫のような変温動物は、気候の変化がそのまま生死を左右するからだ。植物も昆虫もエアコン持ってないしね。寒さに弱いのはもちろんとして、昆虫は暑さにもけっこう弱い。二つくらい前のブログ・エントリーでも書いたが、今世紀の異状気象は、昆虫にも大きい影響を及ぼしているにちがいないのだ。
この夏は全国的にスズメバチの騒ぎが多く報道された。ハチに刺されて大騒ぎ。スズメバチそのものが増えたかどうかは、科学的なデータがあったのか知らない。猛暑でハチが活発化しているとかいう解説もあった。ニュースが増えることイコール事例が増えること、とは限らない。よくあるのは、子供が凶悪事件に巻き込まれることが多くなった、というような根拠のない話が典型例。ニュースで騒ぐと、なんとなく印象として最近は増えているように思いこむ。そういう思いこみが世の中にはけっこうある。
さて、スズメバチといってもいろいろいるんですね。右はオオスズメバチ。スズメバチの王者?。こいつでなく、ふつうハチに襲われる事件の主役は、たいていキイロスズメバチがほとんどだろう。あの大きいバスケットボールみたいな巣を作るヤツね。りんごが熟すと食べにくる。ハチの大きさは中くらい。オオスズメバチと比べると迫力で負ける。
この樹の洞はわが家の畑にある桜桃(ナポレオン)の枯れ木。今年、夏のあいだニホンミツバチの巣になっていた。そして、9月にオオスズメバチのグループが巣を乗っ取った。
左写真のように、7月から8月には、ミツバチが蜜や花粉を運んでこの洞をさかんに出入りしていた。下の写真は巣につづく小さな穴に集まっているニホンミツバチ。
ところが、右の写真を写した9月19日、スズメバチはもうこの段階で巣をほぼ制圧していたようだ。まわりを数匹のミツバチがオロオロと飛び回っていたが、巣の中に入ろうとするものは1匹もいなかった。
巣の入り口近くにかたまるニホンミツバチ(7月)
ニホンミツバチはスズメバチの攻撃に対しても巣を守りきる特殊な能力があるという話を知っていたので、このときもひょっとして洞のなかでは壮絶な死闘がくり広げられているかも知れない、と思って見ていた。しかし、この日の後、ここでミツバチの姿を見ることはついに一度もなかった。
オオスズメバチ vs ニホンミツバチ: YouTube ← オオスズメバチも1匹だとこうなるんだなあ。
日本にはミツバチがいるが、今ふつうに見かけるのは西洋ミツバチがほとんどだろう。西洋ミツバチは飼育しやすいので、養蜂業はほとんどがこの種類を飼って蜜をあつめている。だから日本全国、花の季節には野山を西洋ミツバチが飛び回る。ニホンミツバチの方は名前のとおり昔から日本にいる野生のハチだ。野生だから、生態系のバランスのなかで生きられる程度の数しか自然界にはいない。家畜としての西洋ミツバチとは生息密度がまったくちがう。
西洋ミツバチは野生ではなく家畜だ。牧場に放たれる牛やヒツジみたいなものだ。ミツバチが家畜ということは、自然のままの状態だと生きていけないということ。アジアに住むスズメバチや寄生ダニなど天敵に対する抵抗力が欠けている。人間が管理してやらないと、あるいはタネバチ(女王蜂)を補給してやらないと、日本の自然、日本の生態系のなかでは持続的に生きていくのがむずかしい。
左の写真はりんごの花の蜜を吸う西洋ミツバチ。黄色っぽい。
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10年以上も前から、ミツバチの大量死とか失踪とかが欧米で騒がれるようになったのは、周知の通り。それも「ネオニコチノイド」という系統の殺虫剤とセッ トで世の中を騒がすようになった。ことしもEUを中心にネオニコチノイドの使用禁止などが騒がれた。決着はまだまだつかない。
「ネオニコチノイド系農薬の使用規制に見る予防原則」よく、ミツバチがいなくなると花の受粉が出来なくなって果物も野菜もさっぱり実らなくなる、という話がでてくる。食糧の危機という大変なことが起きると。レーチェル・カーソンの「沈黙の春」にひっかけて「沈黙の秋」とか言う人もいる。しかし、それは誇張だね。自然界にはミツバチ以外に花の受粉を助ける昆虫はいくらでもいる。そもそも西洋ミツバチはほんらい日本にはいなかった。
果樹農家のばあい、ネオニコにかぎらず殺虫剤を散布するのは畑に花が咲いていないような時期だ。つまり、訪花昆虫のミツバチなどが畑のなかにいない時期に散布する。という意味で、果樹栽培がミツバチに悪影響を与えるリスクは非常に小さい。で、日本のばあい、いわゆるネオニコ反対派が問題にしてきたのは水田へのネオニコ散布だった。カメムシ防除剤としてのネオニコだった。しかし、これも、科学的に影響が証明されたわけではない。
農水省:農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取り組みハチが巣を作った桜桃の枯れ木も、もちろん果樹畑の真ん中にあるから、サクランボの農薬だけでなくリンゴや洋なしの農薬も飛んでくる。ネオニコで言うと、サクランボで2回くらい、リンゴで2回くらい使う。
何の根拠があるわけでもないが、わたしは農薬の影響があるとしても、それよりは気候の影響の方が大きいはずだと思ってる。昆虫のような変温動物は、気候の変化がそのまま生死を左右するからだ。植物も昆虫もエアコン持ってないしね。寒さに弱いのはもちろんとして、昆虫は暑さにもけっこう弱い。二つくらい前のブログ・エントリーでも書いたが、今世紀の異状気象は、昆虫にも大きい影響を及ぼしているにちがいないのだ。