NHKの今井義典副会長は3日の定例記者会見で、テレビ番組をインターネットで有料配信する「NHKオンデマンド」について料金値下げを検討すると表明し た。利用が伸びないことへの対策。現在の料金は1番組105?315円などとなっている。通信速度が遅い環境や、米アップル社のパソコン「マック」でも利 用できるよう、来年4月にシステムも改善する。(11月3日)さらに ITmedia Newsによれば、
現行では視聴環境がWindowsとInternet Explorerに限定されているが、Flash化でMacintoshやIE以外のブラウザにも対応可能になり、ユーザー数の拡大を図っていく。(11月4日)
こ
の件については、今年の2月、NHK に問い合わせをしたことがあった。なぜかといえば、わしは IE はふだんまったく使ってないからだ。Firefox
をもっぱら利用しているので、オンデマンドの視聴ができない。もちろん、IE
を使えば済む話だが、「それを使わないような人間は見る資格はない」と言われているようなものだから、不愉快だった。どのブラウザを使うかは利用者の勝手
だろう。NHK は、マイクロソフトの子会社じゃあるまいし。すくなくともただの一民間企業ではない。
日本では、Firefox のシェアはまだ1割くらいだが、世界的にはもう20数パーセントにまで成長している。マイクロソフトの IE だけがブラウザでないことは世界の常識とさえいえるだろう。4人に一人は Firefox ユーザーだ。
我が家のウェブサイト Apple in Wonderland にやって来る人が使っているブラウザのシェアは右のグラフのとおりだ(今年10?11月の統計)。ニッポンの平均よりもかなり先進的なお客さんが多いことが分かる。つうか、コンピュータ関連のお客さんが多いせいだけどね。
それで、去る2月末、NHK の問い合わせ窓口に聞いてみた。なぜ IE にしか対応しないのか。IE
にしか対応しないのは、日本の通信情報メディア界のトップリーダーであるはずの NHK
技術陣としてはお粗末ではないか。インターネット利用者が使うブラウザのシェアが今どうなっているのか、NHK は現状を把握しているのか。
NHKからの回答は以下のとおり。(全文。3月4日)
お問い合わせ頂きました「対応ブラウザ」についてご返答させて頂きます。
NHKオンデマンドのサービスを実施するにあたり、コンテンツ保護、サービスモデルの
実現等の観点から、端末機器のソフトウェア・機能に関する一定の条件を設けさせて
頂きました。
しかしながら、私共といたしましても対象となるPC環境の拡大は、今後のサービス拡充の
大きな柱と考えており、調査・検証などを踏まえまして、より多くのPC環境に対応する
サービスの実現を目指していきたいと考えております。
お客さまよりお寄せ頂いたご意見は、担当部署に報告させていただき、今後のサービス
改善の参考とさせて頂きたいと存じます。
現在 Internet Explorer 以外のブラウザをご利用のお客さまには、ご迷惑・ご不便を
お掛け致しますが、なにとぞご理解頂きますようお願い申し上げます。
また、お忙しいところ貴重なご意見をお寄せ頂き誠にありがとうございました。
重ねて御礼申し上げます。
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追加補足:(6日)
池田信夫blogによると、
-- 当初はマイクロソフトがウィンドウズのアプリケーションとして、丸抱えで「NHKオンデマンド」(この名前はそのときできた)のシステムを構築した。 --
のだそうだ。それが今日のシステムの排他性を生んだわけで、つまり Windows の IE にしか対応しないというお粗末さの根源にあったわけだ。
池田氏は理事会の意見を批判的に書いているが、理事がマイクロソフトにおんぶにだっこのシステムにクレームを付けたことは間違ったことではない。理事会の反対で当初のシステムが立ち消えになったと書いているにもかかわらず、現状のシステムこそ事実上マイクロソフトにおんぶにだっこのまんまなのだ。今のシステムというのは、オンデマンドのユーザ登録手続きはおろか問い合わせすら IE 以外は受け付けない、というひどさだ。つまりオンデマンド・システムは全部が全部いわばマイクロソフトの租界領域になっている。まるで在日米軍だ。
今どき、IE以外はお断り、なんて張り紙を玄関に掲げているような公共メディアは、しょせん時代に取り残されるだけの恐竜だろう。
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