ハイテク農業は損か得か

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なんか大げさなタイトルが付いているが、書いている中身は大したことではないので安心されよ。

注文していたデジタル糖度計がきのう到着した。さっそく川中島桃とプルーンを計ってみた。川中島は16度、プルーンは15度ちょっとあった。川中島桃が16度というのは予想外だった。ふつう14度もあれば糖度の高い美味しい桃という評価になるはずだ。しかし、数字とは裏腹に、その桃を自分で食べてみた感覚で言うと、そんなに美味しい桃ではなかった。どうなっているのだろう。怪しい。

桃の場合、その年の夏の天候がもろに影響する。桃はそれくらい天気に敏感なくだものだ。今年はと言えば、桃はいつもより美味しくない。人間糖度計はそう言っている。

なんで、こういうふうに違う結果が出てくるのか。当たり前のことだが、おいしさは甘さとは別のことだからだ。

何十年も前の幼少のみぎり、塩餡(しおあん)というのがふつうにあった。たぶん砂糖が高価、貴重なものだったからだろう。塩で甘みを代用させるというのは、悪く言えば貧乏くさく、よく言えば生活の知恵だ。まあ、塩が隠し味として入ると甘みが増すことを思えば、人間の味覚というのは、複雑なものだ。が、さすがに、塩味のあんこはまずかった。そのころは、砂糖でなく人工甘味料のサッカリンがいっぱい使われていた時代でもあった。サッカリンの、あの粉のむかむかするようなニオイは今でも鮮明に思い出すことが出来る。

世の中はすっかり変わって、くだものでは、農協などの選果場では光センサーの糖度別選果機を導入するところが増えてきた。これは何千万だかするような高価な選果システムなので、農家の負担もとうぜん大きくなる。それだけではない。選果が厳密になればなるほど、低品質としてはじき落とされる果実が増える。青果物の市場価格が高い時代ならともかく、くだものの市場価格は長いあいだ低迷をつづけている。だから、けっきょくのところ、金をかけてハイテク選果をしたために、損をするだけになるのが農家生産者、ということになる。

数字とか科学的データとか、そういうものは一見、合理的だが、じっさいの現実は、そんなに「甘い」ものじゃないよなあ。と、糖度計を眺めて思うアナログな今日この頃だった。。。

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