今年の4月24〜28日のあいだ、近くで「ミツバチの大量死」現象が起きた。サクランボやリンゴの受粉用に置いてあった2箇所(2キロ近く離れた場所)の巣箱で、合計3群が回復不能の壊滅状態になったらしい。
(右写真は『ハチはなぜ大量死したのか』 ローワン・ジェイコブセン著・文藝春秋刊の表紙)
地域の果樹組合は毎年、果樹の開花期にミツバチの巣箱を畑に置く。ポリネーションと呼ぶ。巣箱は養蜂業者が管理している。ポリネーションは果樹の受粉結実に欠かせない。ハチによる受粉はミツバチでなくマメコバチでもできるし、野生のハチ類も受粉作業をになっている。が、養蜂業者が持ってくるミツバチへの依存度はやはり大きい。
(右写真は『ハチはなぜ大量死したのか』 ローワン・ジェイコブセン著・文藝春秋刊の表紙)
地域の果樹組合は毎年、果樹の開花期にミツバチの巣箱を畑に置く。ポリネーションと呼ぶ。巣箱は養蜂業者が管理している。ポリネーションは果樹の受粉結実に欠かせない。ハチによる受粉はミツバチでなくマメコバチでもできるし、野生のハチ類も受粉作業をになっている。が、養蜂業者が持ってくるミツバチへの依存度はやはり大きい。
ここ数年の各地で起きた大量死とネオニコチノイド系農薬犯人説で、養蜂業者もかなり神経質になっているそうだ。今回のミツバチ被害の原因はまだ不明だが、
どうしても農薬のせいだという方向に流されやすい。しかし、今回の事例では農薬説のほかに低温説もある。いまのところどちらも憶測でしかない。問題の起き
た2カ所では「大量死」の様子がちがっていたという。つまりそれぞれちがう原因で大量死が起きたということになる。
そこで、県はまず農薬 説を検討するために、近辺農家がどういう農薬を、いつ使ったか、の調査を始めた。ハチの屍骸から農薬成分分析をする手もあるが、1成分につき1万円かかる らしい。農薬もさまざまな種類があるので、考えられる成分を皆調べようとすればコストはかかる。しかも、畑で死んだハチは時間が経ってもう回収できなく なっているという。
少なくとも、ネオニコチノイド系殺虫剤はこの季節、果樹には使わないから、たぶん容疑者リストからは外れるだろう。もちろん、間違って使うということも可能性はゼロでないが、まず無いだろう。
低温説はどうか。左は4月の気温変化だ。問題となった時期は最高気温が10度以下、最低気温も0度前後まで落ちた。観測地点より果樹園地は標高がやや高く、 山に近いから、このグラフよりも実際の値は低かったはずだ。ハチが飛んだのは24日と28日以降だった。23日に養蜂業者が持ってきたのは名古屋からだっ た。
名古屋といっても広いのでとりあえず名古屋市のデータを見てみると(左図下)、22日までは最低気温で12から16度、平均気温で16〜19度だったことがわかる。24日以降の米沢と比べると10度くらい高い。この気温差ストレスにミツバチは耐えられなかったのか。
しかし、17群の巣箱のうち一部だけがこうなったことを考えると、気温だけで大量死が起きたとは考えられない。別の原因か、または気温を含めて複数の要因が複合的に働いたのか。
***********************
じ つは、ミツバチの大量死は以前からときどきあったことで、最近急に始まった話ではない。ただ、岩手で養峰業者が訴訟をおこして騒ぎになったこと、アメリカ などで「大量失踪」「蜂群崩壊症候群」(CCD)が話題にされたため日本でもマスコミなどで取り上げられる機会が増えたこと、で「大量死」という言葉が一 人歩きしている。今回の例でいえば、全部で17群のうちの(わずか)3群で起きたことが「大量死」と言えるかどうか、ということだ。
前からあった大量死と最近の「大量死」が同じものなのか、それとも新しい原因による新しい現象なのか。そこをよく見極めなければならないだろう。何でもかんでも「大量死」でいっしょくたにするのは判断を誤る元だ。
そこで、県はまず農薬 説を検討するために、近辺農家がどういう農薬を、いつ使ったか、の調査を始めた。ハチの屍骸から農薬成分分析をする手もあるが、1成分につき1万円かかる らしい。農薬もさまざまな種類があるので、考えられる成分を皆調べようとすればコストはかかる。しかも、畑で死んだハチは時間が経ってもう回収できなく なっているという。
少なくとも、ネオニコチノイド系殺虫剤はこの季節、果樹には使わないから、たぶん容疑者リストからは外れるだろう。もちろん、間違って使うということも可能性はゼロでないが、まず無いだろう。
低温説はどうか。左は4月の気温変化だ。問題となった時期は最高気温が10度以下、最低気温も0度前後まで落ちた。観測地点より果樹園地は標高がやや高く、 山に近いから、このグラフよりも実際の値は低かったはずだ。ハチが飛んだのは24日と28日以降だった。23日に養蜂業者が持ってきたのは名古屋からだっ た。
名古屋といっても広いのでとりあえず名古屋市のデータを見てみると(左図下)、22日までは最低気温で12から16度、平均気温で16〜19度だったことがわかる。24日以降の米沢と比べると10度くらい高い。この気温差ストレスにミツバチは耐えられなかったのか。
しかし、17群の巣箱のうち一部だけがこうなったことを考えると、気温だけで大量死が起きたとは考えられない。別の原因か、または気温を含めて複数の要因が複合的に働いたのか。
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じ つは、ミツバチの大量死は以前からときどきあったことで、最近急に始まった話ではない。ただ、岩手で養峰業者が訴訟をおこして騒ぎになったこと、アメリカ などで「大量失踪」「蜂群崩壊症候群」(CCD)が話題にされたため日本でもマスコミなどで取り上げられる機会が増えたこと、で「大量死」という言葉が一 人歩きしている。今回の例でいえば、全部で17群のうちの(わずか)3群で起きたことが「大量死」と言えるかどうか、ということだ。
前からあった大量死と最近の「大量死」が同じものなのか、それとも新しい原因による新しい現象なのか。そこをよく見極めなければならないだろう。何でもかんでも「大量死」でいっしょくたにするのは判断を誤る元だ。
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