ミツバチの大量死

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畑にまだ雪がある季節、業者が農家を招いて農薬や肥料の説明会を開くことが恒例になっている。先月もある説明会で、ミツバチと農薬の関連についてかんたんな説明を聞いた。

説明会で配布された県の資料では、水田のカメムシ防除用につかわれるネオニコチノイド系殺虫剤が養峰業者のミツバチに危害をあたえる可能性を言っている。ようするに、農薬の使いかたに注意しろということだ。

こういう指導がでてきた直接のきっかけになったのは、2005年8月に岩手県下でおきたミツバチの大量死。養蜂業者組合が全農を相手に損害賠償訴訟を起こした事件だ。全農は問題の農薬を販売したという関係だ。この訴訟は2007年に和解したらしい。

果樹などの農作物はミツバチの助けで花が受粉して結実する。大事な昆虫だ。開花期にはかならず、農家の組合が養蜂業者にたのんで巣箱を畑に置いてもらう。しかし水田の稲作ではこの受粉用にミツバチを必 要としない。たまたま広い範囲の水田に殺虫剤をまいたとき、近くにミツバチの巣群があれば、これは影響する。ミツバチは半径2キロくらいの行動範囲があるそうだか ら、その危険は大きい。養蜂業者は花を求めて全国を移動することが多いわけで、巣箱をおいた時期と農薬を散布した時期が運悪くかさなったばあいが問題になる。

ただし、殺虫剤ならなんでも危ないかというとそんな簡単な話ではない。いま特に名前があがっている農薬は比較的にあたらしく開発販売された種類(ネオニ コチノイド系のクロチアニジン)だ。これまでも水田に殺虫剤が散布されるのはふつうだったから、最近になってこういう被害が出たからには、やはり新農薬の せいだと言われても仕方ない面がある。(追加補足:因果関係を科学的に確認したデータがあるわけではないようなので、ネオニコチノイドを犯人とは断言できない。)

果樹栽培でもこの系統の殺虫剤を数年前から使ってきた。もちろん、畑にミツバチが飛ぶような時期には使わな い。果樹農家は、ミツバチが農薬で死んだとか、葉っぱに薬害が出て落葉してしまった、とかいった農薬の被害話にはひじょうに敏感だ。だから、いい加減な使いかたをすれ ば自分が困ることをよく知っている。このネオニコチノイド系殺虫剤については、その効き目と使用時期、人体影響の低さからみて、とても使い易い農薬だと思っている。


で、 じつは、このミツバチ大量死事件は、ただある特定の殺虫剤が原因だったと断定して片付けることのできない、不思議なひろがりを持っている。これについては、昨年6月に NHK 「クローズアップ現代」 で取り上げられたらしいが、見なかった。その季節は桜桃農家は忙しくてゆっくりテレビを見ている余裕がないものだ。いまでもインターネット上で調 べれば、この大量死があちこちの国で起きているのがわかる。しかも、その原因も、大量死なのか大量失踪なのかも、一様でない。ようするに、原因不明、謎め いた現象なのだ。農薬が原因だというための科学的な根拠がじゅうぶんにあるとは言えない。

まずこの映画の予告編を見てもらおう。
20世紀フォックス映画 『ハプニング』

これはフィクションだから、大げさに不安や恐怖をあおりたてることになる。また、現実社会でも、環境問題とか食料の安全性問題とかでは、ときどき必要以上な大騒ぎになることもある。マスコミはそういう不安のあおりたてが好きなので、普通の人もできるだけ乗せられないよう注意しなければならない。ときには、ヒステリックな農薬批判を引き起こしたりするから、とんでもない世論が暴走する危険があって、かえってそっちの方が恐い。世の中には、無農薬絶対主義、反農薬の「原理主義者」がいるからだ。

それはともかく、現象としてはだいたい二つに分けられるようだ。
1。巣箱の周辺で大量に死骸が見付かる場合
2。巣箱からハチがとつぜん消えてしまう場合(ある日、働きバチが帰ってこなくなる)

2は 「蜂群崩壊症候群」 (CCD) と呼ぶそうだ。

具体的な被害例は、インターネットの Google とか Yahoo! で「ミツバチ 大量死」 「ミツバチ 大量失踪」 なんかのキーワードで検索すればぞろぞろ出てくるので、そっちを読んでもらいたい。ここではこれ以上書かない。ただ、そういうインターネット上の記事には、憶測やら又聞きやらがいっぱい混じっているから、そのまま100%の真実として受け取らない方がいいと思う。

コメント(1)

このブログ記事は、筆者がよく状況や事実関係を把握しないままに書いたものなので、読む価値はあんまりない。世の中には人間のくらしよりもミツバチのいのちのほうを心配しているアホな方々もいるらしい。農家の立場として言えば、ネオニコチノイドを否定されると非常に困るのだよ。ネオニコやめたら有機リン剤を使うしかなくなる。無農薬にできるほど自然界は甘くねえよ。

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