9月13日、コンサートの時間の合間をぬって、長谷川きよしさんご夫妻とパトリック・ニュジェさんご夫妻が我が家に来てくださった。
前にお目にかかったことはあるが来園は初めてのこと。畑をさらっと案内したあと、家で今ちょうど食べ頃になった西洋梨オーロラやらダダチャ豆やらを召し上がってもらった。食べ物はコミュニケーションの大切な小道具だ。なんの芸も無い私などは、果物がお客さんの相手をしてくれるので助かる。こうしていろんな人と知り合いになれるのは果樹農家ならではの楽しみでもある。そのためには美味しい果物を作り続けなくてはいけないな、と改めて思う。奥さん方もとても喜んで食べていただけたので、ほっとした。何と言っても長谷川さんは西洋梨の大ファンなのだ。
ニュジェさんの方はフランスの実家で果樹を作っておられるそうで、けっこう専門的なことも詳しそうだった。とくに西洋梨はフランスが本場と言ってもいいし・・。それに果物とお酒の強い結びつきもフランスならではだ。西洋梨も、生で食べるよりお酒にする量が多いらしい。日本とは果物に対する扱い方というか食文化というか、いろいろ違いがあって面白そうに感じた。
夜のコンサートは別の音楽家の混じったプログラムで、長谷きよさん、ニュジェさんお二人だけのステージは30分ちょっとだけだった。それでも、圧倒的な歌と演奏はあいかわらずだ。いい音楽の力というものを実感する。
1時間半ほどの短くあわただしい来園だったので落ち着いたお話もあまりできなかったが、もしまたお目にかかる機会があれば、もっとゆっくりお話をうかがいたい。この、ひねくれた果樹園主の、実像などをお見せできるかも知れない。考えてみたら、長谷川さんと共通するところが一つだけあった。長谷川きよしさんは2歳の時、視力を永久に失われた。私も2歳の時、かけがえのないものを失った。無理矢理の共通点だなあ。
補足1 長谷川さんの奥さんがハチについて少し心配しておられた。
関連:今週の農作業日誌『スズメバチ』 果樹園の生き物『蜂のなかま』
補足2 ニュジェさんがりんごの幹の白っぽい色はなぜかと質問された。その時は質問がピンとこなかったが、あとで考えてみると、農薬散布の際に混ぜるカルシウム剤(炭酸カルシウムだったり石灰だったりする)が付着しているせいかもしれない。ふだん私たち農家はそれに見慣れていて、りんごの幹は白っぽいのが自然・当然と思いこんでいる。