超久しぶりの投稿ですが、2021年秋に書いた小文をここに載せておきます。ふじリンゴの箱に入れてお客さんにお届けした拙文。
********************************************************************
去年はクマや野鳥の話を最近の気候のこともあわせて書きました。そこで今年もツバメの話を少し。 最近、ツバメを見ることがほんとに少なくなってきました。いろんな原因があるでしょうが、ひとつは巣を作る場所が無くなったのが大きいと言われます。
近所には昔から駄菓子・タバコ屋があって、入口の庇の下に毎春ツバメがやってきて巣を作っていました。ところが店のお婆さんが認知症で施設に入ったため3年くらい前に店を閉めてしまいました。店の前には飲み物の自販機もあったり、学校帰りの中高生が立ち寄ったりする場所でもあったので、カラスなどの天敵が近づけない、子育てには安全な場所だったのでしょう。店が閉まってからというもの、ツバメはばったりと来なくなってしまいました。
我が家の話をすると、20年くらい前まで古い木造の小屋にヤギを一頭飼っていました。その真上の天井の梁の手が届く場所に毎年ツバメが巣を作っていました。エサをくわえた親ツバメが小屋の開けた窓をさかんに出入りしていたものです。周りは野良猫もうろうろいるし夜はテンやイタチも出るのですが、ヤギはツバメにとって大切な守護神だったのです。そのヤギが死んだあとツバメも来なくなりました。
こんなふうに、ちょっとした人間の暮らしの変化が自然界に大きく影響するのですね。ツバメの来なくなった国はさびしい国のような気もします。