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2014年11月アーカイブ

北斗

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hokuto1.jpg今年も「北斗 りんご」を検索してわが家のウェブにやってきた人が500人近くなった。去年の秋も急にアクセスが増えたのだが、今年は去年以上に多かった。時期は北斗が収穫期になる10月末から11月にかけてがピークだった。

品種を名指して調べる人がいるのはリンゴの一品種としては異例だろう。ただし、わが家に来るということは、世の中で北斗について書いてあるウェブの絶対数が少ないことを意味している。それだけ、これまで世間で話題にされることが少なかったマイナーなリンゴなのだ。

北斗は客観的に言えば、糖度はさほど高くない。ところが食べた人の印象はまるで違う。果汁が多くてジューシー。水分が多いので甘さがすぐに口の中に広がる。だから数字上の糖度よりも食感としての糖度が高い。

熟すと蜜が入る。だから食べる人の目からも美味しさが倍加するわけだ。蜜の入っていない北斗は味も素っ気もないが、これは糖度自体が高くないせいでそうなる。つまり美味しさの大部分は果汁(水分)が多いことでもたらされている。

hokuto4.jpghokuto6.jpgそれから、果実が大きい。お客さんもそのボリューム感に圧倒される。大きいもので800グラムくらい、平均的な大きさで500グラム。これはフジなどと比べると倍ほどの大きさだ。

ただ、大きくてジューシーなのはいいが、それはとりもなおさず日持ちが悪いことを意味する。軟化してしまって美味しさが長続きしない。

しかし、何よりもこのリンゴの特徴をひと言で言えば、歩留まりの悪いリンゴ、農家にしてみれば最悪の品種、ということになるだろう。

歩留まりを悪くしている大きな原因は軸割れ(ツル割れとも言う)の多さだ。それから芯カビ病の多発。これも外からは判別しづらいので、消費者の信用を失いかねない、致命的な、この品種の欠陥と言える。芯カビ病は、芯の部分が黒い空洞になって、そこに白い蜘蛛の巣のようなカビみたいなものが生えている。お客さんの印象はなんだこれ、となる。そこから腐っている場合もある。

それから色づきの悪さ。品質のバラツキの大きさ。外見、色が同じ品種と思えないくらいちがった実が成る。さらに呆れるのは、一本の北斗の樹で太枝ごとに成る果実の姿が変わることだ。この枝の実はみんな色が赤くつくがこちらの枝は全部色が悪い、あちらの枝は蜜が入りやすいがこっちはダメ、といった具合。

hokuto5.jpgそれにしても、この北斗は登場してからもう30年の歴史がある。そして、農家はとっくに見捨てたリンゴなのだ。それが最近、急に注目されてきたのはどうしてなのかなあ。よく分からない。






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