我が家の桜桃畑に今日、サルが襲撃をかけてきた。
きのうの晩、農家仲間から、「サルが近くに来ているぞ、気をつけろ」という情報をもらっていた。 早朝から警戒しながらサクランボを収穫していたが、姿を見せなかった。
朝ご飯をすませ、午前中も同じ畑での収穫作業。(我が家には桜桃畑が3カ所に分かれてある) 10時を過ぎた頃、雨除けハウスが急にバタバタと音を立て始めた。 サルだ。一昨年の経験からすぐに分かった。ハウスのポリの上に上がろうとする音なのだ。気づくのが早く、中に侵入する前に、追い払った。サルは山の林のほうへ逃げていった。
それから10分もしなかっただろう。ふと気配を感じた。 サルがいつのまにか雨除けハウスの中に入っている! 4匹か5匹か。 ほとんど音をたてずに入ってきた。
サクランボの季節はくたびれているので、ブログなんか書く気力はあまりない。しかし、せっかくサルが来たのだから、それからどうなったかを記録しておく。
サクランボを収穫しているときは樹の枝のあいだにいるから、葉っぱに遮られて見通しは当然きかない。気配だけだ。何か生き物の気配があった。 収穫作業用の脚立から地面に急いで降りた。10数メートルほど先を薄茶色の影がさーと動いた。あっちにもこっちにも。。。。樹の上に、地面に。 人間に気づいたサルは、入ってきた網のあいだをくぐってハウスの外へと逃げた。ほんの数秒間のことだった。
樹の上に一匹が逃げ遅れた。ハウスの上の方から外に逃げようとしたが、網がしっかり止めてあって出口がない。ハウスの鉄パイプと樹の枝を端から端へと出口を探して移動する。まるで動物園にでも来たかのようだ。オリの中を行ったり来たりするサル。
わたしは長さ5メートルくらいの鉄パイプ(直径22ミリ)を構えて、地上からサルを攻撃した。あっと、雌ザルだ。小さい子猿がしがみついているではないか。下から見上げるとオッパイも見える(笑)。サルはハウスの天井で身動きできなくなった。そこを地上から鉄パイプで責める。腹をパイプの先でぐりぐりぐりぐり・・・・こづき回したが、親サルは困ったような顔をして耐えていた。とつぜんウンコをぼたぼた落としてきた。ぎゃっつ。
わたしは息が切れていた。運動不足か、歳のせいか、はたまたタバコのせいか。サルの方が余裕があるじゃないか。くそ、ゼイゼイ、ハーハー。 ついに隙を突いてサルは地上に滑り降りて、走っていった。 ハウスは防鳥ネットと防風ネットでぐるりと囲んである。広さは30メートル x 50メートルくらいある。サルの親子はその端の方へ向けて逃げていった。角で行き止まり、だ。追い詰めたぞ。。。。鉄パイプを持つ手に力が入った。ぐわおーっ。
追いついたとき、サルは防鳥ネットと格闘していた。 わたしはパイプで一発喰らわせた。外れた。もう一発!今度は当たった。もう一発。と、勢い余ってパイプの先が防鳥ネットも裂き破ってしまった。サルにも当たったがその弾みで、サルの親子は網の裂け目から後ろ向きにハウスの外へ、もんどり打って吹っ飛んでいった。
ハウスのすぐ外は土手になっている。サルはそこを転げ落ちて、草ヤブの中に見えなくなった。
運よく絶体絶命の危難をのがれた、サルの母子。土手の下からつづくヨシ原がさわさわとかき分けられて、姿は見えない母子の、離れていく航跡だけがかすかに見えた。
追いかけるのも無駄なので、今、破ってしまった防鳥ネットの破れ目を修復することにした。
数日後、猟友会の仲間に聞いてみたのだが、最近はサルは集団を作らず、5頭くらいの小グループで行動しているそうだ。前のように100頭にもなる大集団で押しかけてくることは無くなったらしい。群れは少数グループに分散した。ゲリラ的に出没する方法を選んだ。そのほうが、サルにとってリスクが小さく、ベネフィットが最大化できる。そう、人間のトモダチは判断したらしい。
すばらしい!。さすが、人類の友。サルは学習能力がすこぶる高い。
彼らも我が家の園地で手痛い目にあわされたことをしばらく忘れないにちがいない。少なくともあの母子が生きている限りは、近付いてこないだろう。たぶん。。しかし別のサル集団は関係がない。あの園地は危険だという経験情報が他のグループに伝達されることは、おそらく無いのではないか。だから、来年は、また別のグループが襲来することになるだろう。
サルは高さ4メートルの防風ネットを難なく乗り越えてハウス内に侵入した。
防「鳥」ネットは編み目が大きく、弱く、登りやすく、破りやすいので、丈夫できめ細かい防「風」ネットなら何とか防げるのではないか、と思っていたが、やっぱり考えが甘かった。来年はさらに何か工夫が必要だ。登れなくするための。