11月19日の夕方から降り始めた雪が朝には20センチ近く積もった。ふじ・りんごの収穫は三分の一も終わっていない。ふつうは今ごろ10センチ以上積もることは滅多にないが、それでも、雪国だからこういうことも当然覚悟してはいる。しかし、降ってもせいぜい1日程度がふつうだ。ところが今年はちがった。
20日は晴れ間が見えたが、畑の雪が完全にとける前にまた22日に雪が続いた。りんごの枝が果実と雪の両方の重みに耐えられなくなって、あちこちでバリバリと折れた。これ以上被害を大きくしてはいけない。22日はりんごの枝に積もった雪を落としてまわった。実が成ったままの枝だから傷つけないように雪を払わねばならない。暗くなってからも雪明かりでなんとか、フジりんごの樹の雪をぜんぶ落としてきた。それでも23日朝には40センチの積雪になった。この積雪は根雪にはならず、12月になってすべて解けて無くなった。雪の消えた畑は、折れた枝、地面に散乱したりんごで悲惨だった。落ちたりんごは18キロ・コンテナーで20個を超えた。
落果の被害は大きかったが、問題はそれだけではなかった。この寒波が襲ってきた期間、2度も強烈な冷え込みがあった。夜の気温がマイナス7度をきったのだ。1月2月ならマイナスの気温など当り前だが、11月にこれほどの、米沢が冷凍庫状態になったのは記憶にない。冷蔵庫を通り越して、一気にフリーザーだ。日中も気温が上がらず真冬日になった。
左図のとおり、最低気温は11月19、20日とさらにつづいて24日にマイナス7度を下回った。気象庁のデータは市街地でのものだから、山に近いりんご畑ではさらに2,3度低くなってマイナス10度近くにはなったはずだ。この時期これだけ冷えたのは、山形県内でも山奥を除いて他にはなかった。米沢だけがすっぽりと冷凍庫に入れられたようなものだった。
樹になっているりんごは完全に凍結してしまった。ダメージを受けないはずがない。蜜入り状態の完熟りんごは、その蜜入り部分が凍結すると細胞が破壊されることも多い。細胞が壊死すると茶褐色に腐ったような状態になって、売り物にならなくなる。
最大限注意をはらって、そういう壊死りんごは発送しないようにしていたが、一部だが混入したらしい。お客さんからクレームがあった。そこら辺は特別な事情として勘弁願うしかない。