果物泥棒 9月15日

2007年版No.5
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東京の中央卸売り市場(大田市場)から大量のグレープフルーツを盗んだ疑いで運送会社の社員が逮捕されたそうだ。なんでも、グレープフルーツの箱にGPS(全地球測位システム)が仕込んであって、それで盗品の足取りが追跡され、犯人が捕まったという。GPSは盗難に警戒していた仲卸売業者が仕掛けておいた。

ところで、山形には毎年6月になると果樹畑にサクランボ泥棒が出没する。このブログでもときどき話題にしている。で、このサクランボ泥棒だが、捕まったという話は一度も聞いたことがない。毎年恒例なのだから、一人ぐらい逮捕されてもよさそうなものだ。なぜ捕まらないのだろう。

警察がボロなのか?。いや、そうではない。サクランボ泥棒はぜったいに捕まらない。捕まるはずがないのだ。なぜなら、犯人はこの世に存在しないからだ。存在しないものは捕まえようがない。この世に存在しない、と言っても犯人が死んでしまったわけではない。犯人が存在しない、すなわち犯罪が存在しない。つまりサクランボの盗難という事件そのものがもともと存在しないのだ。な、なんと。そんな。事件が存在しないなんて乱暴な。サクランボ泥棒は作り話なのか。然り。作り話だ。

あれはどう見たって、「被害者」の大ウソ、でなければ勘違い。ボケ、だろう。2、30つぶ無くなっていたぐらいのことなら分かるが、一晩で何十キロも無くなっていたなどという被害話は、まったく信用できない。サクランボの収穫がどれくらい大変な作業か知っている者として、サクランボを夜中に大量に畑から盗んでいくことなど至難の業だ、と言うしかない。手当たり次第むしり取ればいいというものではない。商品価値をたもつにはそこそこ丁寧に枝から軸を切り離さなくてはいけない。一粒が7、8グラム程度だから、100キロ収穫しようと思えば、1万3000個もの果実をひとつぶずつ扱わねばならないのだ。盗人にそれだけの収穫技量と熱意、真面目さがあれば、犯人を我が家でも農作業員として雇いたいくらいだ。すばらしい技能の持ち主、プロ農家の見本、だからだ(笑)。

ほんとうのサクランボ泥棒の正体、さくらんぼ泥棒の正体。

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