後継者もんだい 4月10日

2007年版No.3
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我が家の畑に接している桜桃(サクランボ)畑をもっていた農家が、今年から桜桃作りをやめることになった。後継者がいないからだった。植えてから20年以上経つ桜桃の樹はぜんぶ切り倒された。うまくやれば毎年200万くらいの売上は取れるような畑だった。もったいない。

他の農家に畑を貸すという方法もあった。しかし、いくら高収入があるサクランボだと言っても、どこの農家も自分の所の畑だけで精一杯というのが現実だ。とてもよその畑を借りてまで規模を拡大できる状態ではない。とくに桜桃栽培は短期決戦なので、労働力を集中させなければ良い品物は作れないし、高い収入を得ることもできない。だから借り手が出てこないのは当然だった。


すべて伐られた桜桃

作り手がいないとなると畑は放置される。放っておけば草はぼうぼう伸びるし、桜桃の樹は病気と害虫の巣になる。そうなれば周囲の農家に迷惑をかけることになる。だから、樹は切って倒すほかないのだ。切り株だけ残った畑は、雨除けハウスだけが建ったままだ。解体しても大量にあるパイプ鉄材の処分が大変だ。もう70歳をとっくに過ぎた本人はそこまで片づける気力はないらしい。息子はいることはいるが、勤め人で、農業を継ぐ気は全くない。家内労働が基本の農家にとって、後継者がいないのは致命的ではある。一度、耕作をやめてしまうと、2度と再開できなくなる。畑はたちまち荒れて無惨な廃園となるのだ。

3月、4月は、農家にとっても世代交代の季節だ。遠くに出ていた息子が帰ってきて、親を手伝い始める農家ももちろんある。ちょうど、わたしらの世代が今そういう年代に入りつつある。この2年くらいの間も、近辺の果樹農家では20代3人ほどが大学を出たり会社を辞めたりして自宅に戻って、後を継ぐことになった。一方で農業をやめていく人も止まらない。さて、我が家はどうなることやら。

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