さくらんぼ泥棒の正体 7月1日

2006年版No.6
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6月24日、佐藤錦の収穫を始めた。

初日から思わしくないことが起きてしまった。ハクビシンに桜桃が荒らされた(と、その時は思った)。かなりの被害だ。昨夜かその前の晩、雨除けハウスの周りをおおっている防鳥ネットをはがして入ってきたようだ。枝があちこちで折られ、サクランボの実が食い荒らされていた。1匹や2匹ではなさそうな被害規模だ。一番大きくて色も赤い実を選んでごっそり食べていた。

予想収穫量を下方修正しなくてはならない感じだ。困ったことだ。夜行性のハクビシンだから、また何度もやって来る恐れが強い。

明くる日になって、しかし、被害の程度から考えてハクビシンとは思えなくなってきた。なぜなら、近くの地区では数日前にサルが桜桃畑を荒らしたという話を聞いたからだ。防鳥ネットをはがす手口、枝をあちこち折るやり口は我が家の被害状況とそっくりだ。しかも、我が家の桜桃畑は山際に近い。どうも、我が家もサルに襲われた線が強くなった。ほんの一日、その畑を見回らなかっただけで、隙をつかれてしまった。

サルとすればかなり手強いことになる。

数日経って、同じりんご出荷組合の仲間の桜桃畑がサルに襲撃された。 彼の畑は、我が家の桜桃畑から300メートルくらいの距離にあって、同じ山裾近くにある。戦々恐々。ふたたび我が家にやってくる恐れは強い。これ以上の被害を受ければ致命的になる。

サルについては去年、『今週の農作業日誌』の「山猿軍団、今年も参上」でも書いたよ。

サル、サルとばかり書いたが、ハクビシンも来ていたように見える。被害程度は少ないものの、それでもところどころにハクビシンらしい痕跡がある。

7月1日。ついに再びさくらんぼ泥棒が襲撃してきた。白昼堂々、我が家の畑を襲ってきた。泥棒の正体はまさしくサルだった。泥棒というよりは「強盗団」と呼ぶ方が似合っている。

幸運にも、今回は我が家の爺さんがひとり桜桃畑にいた。風もないのに桜桃の雨除けハウスが上の方でガサガサしていたそうだ。おかしいなあ、何だべ?とそちらに行ってみると、な、なんと、サルが3匹、紅秀峰(晩生種)のハウスの防鳥ネットを開けて侵入、紅秀峰の樹に乗っていた!。上を見上げると、な、なんと、別の3匹が佐藤錦の雨除けハウスに侵入しようと屋根の上に登って透明ポリの上を歩き回っていた!。80歳を過ぎている我が家の爺さん、ぶったまげた。長年、農業をやってきたが、さすがにこのさくらんぼ泥棒を目の前にしたのは初めてだった。

合計6匹の山猿。爺さんは近くにあった鉄パイプを手にして反撃に出た。紅秀峰のハウスに入っていたサルはアミを引き破って逃走した。爺さんは鉄パイプを振り回して山の方まで追いかけていったそうだ。そこまでやって、やっとサルは去る。

しかし、もし誰もいなかったら桜桃は再びメチャメチャにやられただろう。危ないところだった。と言っても毎日見張りを立てているわけに行かない。そこで緊急にサル撃退の仕掛けをした。

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