山猿もジョッキ片手の暑さかな

2004年版No.9
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天気のせいだか何だか、近くにサルが来ている。晩秋から冬にかけて山から下りてくる話はたまに聞くが、夏はあまり聞いたことがない。

我が家から3、400メートルほど山寄りの地区に、この夏サルの集団が出没している。枝豆、トウモロコシ、ナス、カボチャ、スイカ・・何でもいただいていくので、一帯の家々は困り果てている。たいてい自家消費用に作っているもので畑の規模そのものは小さいが、自分の食卓にのせるはずのものがサルの胃袋の中に入ってしまうのは、やるせない。カボチャなどはその場で食べず、サル同士でバケツ・リレーしながら隠れ家へ運んでいってしまうという、ホントかウソか分からない話まで出ている。その姿を想像すると民話めいた楽しい情景だが、畑から大きいカボチャが消えてしまっているというのだから、やっぱり運んでいくのだろうなあ。枝豆はサヤをむいて豆だけをちゃんと食べるんだとか。さすが人間の親戚だけのことはある。これに冷えたビールでもあればサルの顔もいよいよ赤くなるだろう。

山猿もジョッキ片手の暑さかな  辰

そういえばハクビシンも近ごろ増えてきている。こいつは古い民家の屋根裏とか物置とかに巣を作る。夜行性で夜のうちに活動する。2、3年前、近くの山の神の小さなお社を改修したとき屋根裏から跳んで出てきたそうだ。今年は6月にサクランボの被害があちこちで聞かれた。我が家の畑にもやってきた。サクランボを収穫するために脚立に登ってみると、サクランボが軸だけ残してごっそり無くなっている。無くなっているのは、たいがい雨除けハウスの水平に渡された鉄パイプのすぐ近くで、パイプの上から届く範囲の実を食べるようだ。パイプをつたって登ってくるらしい。雨除けハウスは防鳥網で囲んであるが、どうもその網の下をくぐって入ってきてパイプによじ登っていくみたいだ。今年は不作で品物が足りなくて農家はみんな困っていたが、この姿を見せないサクランボ泥棒にも参った。ハクビシンは本来、南方系の動物だが、これが増えるというのも温暖化の影響かなあ。(ペットショップでこいつを売っているらしい。逃げ出して野生化することもありそうだね。ペットブームもいい加減、困りものだ。)

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