春は名のみの風の寒さよ 2月5〜17日

2003年版No.6
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2月半ばにもなると雪は締まって硬く冷たさを増す。二重の防寒長靴を履いていてもじわじわと足が冷える。この季節は果樹の剪定と桜桃の芽かき(「果樹栽培用語辞典」参照のこと)といった作業が一日雪上で続く。雪の上を吹く風は身体を凍らせる。頭は銀行強盗スタイルの目出帽にサングラスだ。サングラスは雪面のまぶしい反射から眼を守るためだけでなく、葉っぱのない枝で眼が傷つくのを防いでくれる。

剪定には専用のハサミとノコギリを腰にする。それに1.8メートルほどの長いアルミ製柄のついた剪定バサミも使う。剪定は適度に身体を動かすので寒さはそれほどでもないが、桜桃の芽かき作業はほとんど指先だけの仕事なので風のある日などは身体の芯まで冷えてくる。細かい仕事で一日に一人で一本の樹を終わらせるのもきつい。剪定は頭も体も使うから良いが、芽かきは純粋に単純作業だ。この単純労働が延々と続く。

今月も半ばを過ぎたが、ときおり雪が降る日はあるもののドカッと積もることもなく積雪量は徐々にだが減ってきた。今の時期に1メートルを切っているというのは今年もやはり雪が少ないということだ。全国的には「寒い冬」という声を聞くが、私の感覚では今年も明らかに暖冬だった。普段降らない地域に雪が多かったために、印象として「寒い冬」になったのだと思う。ここのところ農作業日誌のネタは寒さで凍っているらしい。書くことがないな。

去年聞くことが出来なかったフクロウの鳴き声を聞いた。17日深夜のこと。

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