洪水 8月28日

2002年No.17
戻る

ヨーロッパ中部の洪水、中国長江流域の洪水、バングラデシュの洪水・・・。
私はこの季節になるとディラン・トマスの一節を思い出す。

 奔流の鮭である太陽の光を浴びて
 神がいそがせる夏の終わりに
 いま、うねりながら進んでいるこの日、
 鳥のさえずりと木の実が絡みあう
 ひどくあぶなっかしい岩のうえの
 海に揺すられるわが家、

そしてこの詩は次のように結ばれる

 神がいそがせる夏の終わりに
 わたしの方舟は陽を浴びてうたい
 洪水は いま 花を咲かせる。
(田中清太郎訳)

英国の詩人ディラン・トマス(1914〜1953)はボブ・ディランに強い影響を与えたと言われている。ボブ・ディランという名前はこの詩人からとったものだ。ディランの『風に吹かれて』なら、音楽ファンでなくても耳にしたことのある人は少なくないだろう。
洪水はもはや誰にも止められないのだろうか。すべては人間自らが呼び寄せたものだが・・

"The answer,my friend,is blowing in the wind.
The answer is blowing in the wind."

▲もくじ