有機栽培はつらいよ 10月5日

2001年No.10
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9月下旬から10月上旬、我が家では果樹園に肥料を散布する。翌年の生育に必要な養分を秋のうちに用意しておくのだ。もう10何年も前から、肥料は基本的に有機発酵肥料を使っている。化成肥料は成分の比率が高いので散布量は3分の1以下で済む。それに対して有機肥料は効率という面で言うと分が悪い。散布するのもかなり疲れる。それに何より化学肥料よりコストが割高になる。しかし植物が必要としている養分の種類は非常に多く、ごく微量でも欠かせない成分がある。有機肥料の場合はこの微量だが不可欠な要素をたいてい含んでいる。それにバランスも取れているので安心して使える。化成肥料だと少しの量で効いてしまうためにバランスがおかしくなる危険があって、土を荒らしてしまったりする。何も考えずに肥料管理をしている農家の園地は一目で分かる。こんな草の生え方をしている園地ではロクなりんごは採れないゾ、と。

こんな有機発酵肥料の難点がもう一つある。臭い!ことだ。発酵していないナマの肥料なら臭くないが、発酵させたものは匂う。特に気温が高いとこれはプンプンだ。だから天気を見越して散布しなくてはならない。一昨年だったか、10月になって異常に蒸し暑くなったことがあった。運悪くその前の日に宅地に近い畑に散布していた。夜、電話で怒鳴られてしまった。ブンブン、カンカン。それ以来そこの畑には化成肥料を使っている。普通の気候でないととんでもないことになる。今の日本はこういう臭さには敏感だが、車の排気ガスなどには全く鈍感ということになっている。どちらが有害かは明らかなのだが、そう受け止めてくれる人は少ない。

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