まだ雪の降る日はあるが、積もった雪は締まっていて雪上の作業もやりやすくなってきた。積雪はまだ平均1.5メートル前後はあるだろう。剪定はだいたい終わるのに3月いっぱいはかかる。ことしは4月にまでずれ込むかもしれない。枝の損傷があるので、どの程度の強さで剪定するか、むずかしいところだ。樹によっては雪のために枝全体の量の2、3割が失われている。もちろん完全につぶれてしまった幼木は、4月に雪の下から無惨な姿を現すことだろう。昔『太陽がいっぱい』という映画があった。あのラストシーンにも似た・・・。 サクランボの方は案外被害が少ない。「摘蕾」作業というのはサクランボの花芽の数を少なくして一つ一つの芽を充実させる、最近では欠かすことの出来なくなった作業だ。だいたい芽の数を半分から三分の一くらいに減らす。すると一つの芽に割り当てられる樹の中の貯蔵養分が多くなるので、しっかりした花が咲き、また樹が花を咲かせるために使うエネルギーを節約できる。開花というのは果樹にとっての大仕事だから、少しでもその負担を軽くしてやると、その後の実の出来もよくなる。という仕掛けである。十年も前は誰もこんなことはしなかった。より大きくより美味しくという農家の競争の中から、最近はかなりのサクランボ農家がこの作業をとりいれている。この花が開くのは四月の末だ。