日本経済新聞は春から日経新聞のインターネット版を創刊するそうだ。
「日本経済新聞 電子版(Web刊)」今春創刊 1日の暮らしが変わる
おかしいのは、紙の新聞と電子版の両方を購読するというストーリーになっていることだ。なんか、涙が出てきそうだ。両方にカネを払ってまで読みたい人がいると、マジで思っているのだろうか。
今までもインターネット上には新聞社のニュースサイトがある。もちろん無料で見ることができるが、電子版はこれとは違って有料新聞をべつに出すということ。要するに、本屋の立ち読みは許さないよ、という話だ。まあ、電子版を購読する人もいるかもしれない。しかし、紙の新聞の購読は止めるだろう。紙の新聞購読が減る。いまでも減り続けている購読収入が減る。
「なぜ検察は小沢に惨敗したか」で書いたが、新聞社の売り上げはがたがたと落ち続けている。さらに広告収入も激減だ。2009年のマスメディア別広告費は、インターネットと新聞社の順位が逆転した。ネットが現状維持だったのに対して、新聞は対前年21パーセント減、テレビも17パーセント減という結果になった。「マーケティング・サロン りゅうぽんの日記」より右のグラフは2009年の値は概算値。電通のデータと「りゅうぽんの日記」の数字から作成してみた。
広告料収入は減るは、購読者は紙とネットに分裂するは、いよいよニッチもサッチもいかなくなるのが新聞業界だ。紙の購読者が減れば新聞配達のコストは上がる。コストが上がれば購読料を上げなければやれない。戸別新聞配達システムの崩壊。悪夢のスパイラルがおきるのは目に見える。
先行しているアメリカの大新聞も迷走をつづけている。
「NYタイムズ、電子版で課金を検討 米メディア報道」(日経1月20日)
こういうニュースもある。
「米新聞社Newsday、自社ニュースサイトを有料化するも登録者は3ヶ月で35人だけ」(Slashdot 1月27日)