▲ Index 3年前の正月のご挨拶状をタンスの奥から持ってきました。 1998年元旦発行

創刊

 きょう『クリティカル・フルーツ』® を創刊します

 クリティカル・フルーツとは何か
 果物の新品種ではありません
 「不機嫌な果実」でも、もちろん「奇妙な果実」でもありません
 では何でしょうねえ

 英語の辞典でcriticalを引くと
 批評の/口の悪い/危急の/臨界の などと書いてあります
 不定型、不定期、ふてくされ。無愛想、無遠慮、無責任
 そんなところが編集方針の
 クリティカル・エイジの個人的広告
 とでも定義しておきましょう

 活字や映像、音響、さまざまな情報刺激が溢れています
 みな自己主張しようとして押し合いへし合い
 カラオケマイクの奪い合い、差異化差異化はごみの山
 あるいは全く逆に都会のラッシュ時(どき)
 誰かが死んで転がっていても誰も見向きもしてくれない
 すべての男が痴漢行為に集中し、すべての女が女を売っている
 新たに何かを主張しようと、人混みに割って入るのは、
 地下通路の段ボール箱に住む世捨て人と正反対のようで
 実はまったく変わりばえのしない愚かしさ
 情報バブルにみんなが踊り、アワに踊れば飯も食える

 そんないま、あなたに必要なのはたぶん
 鼓膜を突き破るような《沈黙》と

 網膜を一瞬に焼き尽くす《暗闇》だけなのです [つづく]