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IAEA事務局長選挙で見えた「唯一の被爆国」の信用度  ・・・ [2009/3/28]

国際原子力機関IAEAのエルバラダイ事務局長の後任を選ぶ選挙で、日本政府が押す天野候補がじゅうぶんな票を得られず、後任が決まらない状態に陥っている。天野氏が落選した。

政府が本格的に日本人候補を立てるのはこれが初めてになるが、南アフリカの候補と対決で両候補ともIAEA理事国の3分の2以上の支持を得られなかった。

これは、「唯一の被爆国ニッポン」の信用度が世界的に低いことの証明でもある。 数年前、国連安全保障理事会の常任理事国入りでも失敗してきた日本政府。 唯一の「売り」としての「被爆国」も、国際的には何の神通力もないことを見せつけられたと言える。とくに原子力開発では途上国側の支持がまったくとぼしい。

なぜか。だいたい、「唯一の被爆国」が「唯一の核使用国」アメリカの核の傘に守ってもらっているという漫画的状況は、どう説明できるというのか。これで世界の尊敬を受けられる国になれると思う方がおかしい。「原子力平和利用の優等生」としての日本といううたい文句も、国際社会では本音の部分で説得力を持たない。日本政府は、しょせんアメリカ政府の核政策のうしろをシッポを振ってついていくだけのイヌにしか見えないだろう。そしてイランや北朝鮮の原子力開発に吠えているだけのイヌ。

それにダメを押したのが、小泉政権のイラク戦争支持だった。あの行動で、自民・公明政権は最大級の国益損失を日本人にもたらした。開戦直前の国連安保理。大島国連大使の露骨な従米演説を思いだす。あのとき、元IAEA事務局長で国際連合監視検証査察委員会委員長のハンス・ブリックスは、イラクの原子力施設の査察継続を主張していた。しかし、軍事行動を避けようとする国際的な動きを無視した日本政府は、アメリカの独断的なイラク侵略を断固支持する側にまわった。いわば、IAEAにとっては裏切り者なのだよ、ニッポンは。それを忘れるな。

関連: 『唯一の被爆国、なんてものはない』