2015年7月アーカイブ

高温と少雨

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前回の記事「凍害」に書いた去年12月の低温と対比するように、今年の5月は異常な高温で経過した。

こういう両極端が起きてくるというのは、農家にとっては非常に困る。温暖化の脅威は年々、急速に増大している。脱原発とか言って火力発電ばんばん燃やしているどこかの国の国民はあほだな。

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4月下旬から6月にかけて高温と少雨。バタバタしているうちにもう7月になってしまった。。

この前の冬の雪害は一つ前の記事に書いたとおり。今回はリンゴと桃の凍害について記録しておく。
以下の写真は5月始めの撮影。


DSCN1110.JPG上写真:桃の幼木。完全に枯れた。4年生、品種さくら。去年まで健全に生育していた。

DSCN1111.JPG上写真:りんご紅玉の幼木。これも去年まで何の問題もなかったが、とつぜん完全に枯れた。6年生。

DSCN1061.JPG発芽しなくなった枝の部分は赤褐色に焼けたようになっていて、皮を削ってみると形成層まで赤黒く死んだ状態になっている。

初めは枝フラン病を疑ったが、フラン病とは明らかにちがう。フラン病は皮が軟らかくなるが、今回のは硬く乾いた状態だった。洋梨類ではよく見る胴枯れ病ではないかという見方もあった。たしかに洋梨の胴枯れ、枝枯れ症状に何となく似ていた。



DSCN1066.JPG枯死した枝は切りとった。もし胴枯れ病だとすると厄介なことになる。いままでリンゴの胴枯れ病は一度も経験したことがない。何の前兆もなしに春先にとつぜん枝や幼木が枯死されたらたまらない。樹がなくなってしまう。対策はあるのか。





そこで、元・農業試験場につとめていたOBの先生に園地で診てもらった。結果は「病気ではなさそう。凍害ではないか」ということだった。去年の12月、ま だ果樹が落葉していない時期に低温があった。前の雪害の記事でも書いたが、枝折れも凍害も、樹体がまだ冬眠体勢に入る前に突然寒波に襲われた。そのことが 被害に大きさにつながったらしい。こういう枝枯れは毎年少しはあるが、今年ほどひどいことはいまだかつてなかった。あっても枝先が枯れる程度で、太めの枝や幼木全体が枯れるようなことは今年が初めてだった。

米沢2014年12月の気温変化と平年の気温。気象庁のデータからグラフを作成してみた。

細めの折れ線が去年実績、太めの線が平年値。平年より相当に低かったことがわかる。氷点下10度くらいは真冬の1月から2月にかけてなら普通にあるが、去年のように12月の始めから何度も起きることはない。こういう極端な気象現象は地球温暖化と無関係ではないのではないか。

kion201412.png桃はどちらかと言えば暖地の果樹だから、寒さに弱いのはわかる。桃の凍寒害は近年、山形でも話題になってきた。しかし、リンゴについては暖地の果樹ではないし、凍害もいままで聞いたことはなかった。それが今年のように出てくるのは、やはり異常だろう。

以下の写真。枯死はしなかったが、凍害のダメージを受けた枝は発芽と展葉が弱く、衰弱した状態になった。健全な枝は緑の葉っぱが広がって、白い花も咲きそろっているのと比べてもらいたい。これらの枝には果実はつけられないので、すべて摘花して、枝の負担を軽くしてやった。今年の回復をめざす。

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